あっという間に師走となり、なんとなく忙しいような、でも、楽しいことが待っていそうな、不思議な気持ちになるこの頃です。二十四節気は大雪(たいせつ12月7日)を迎えます。野山は雪で白く化粧され、寒さも本格的になります。七十二候は、閉塞成冬(そらさむくふゆとなる12月7日~11日頃)、熊蟄穴(くまあなにこもる12月12日~16日頃)、鱖魚群(さけのうおむらがる12月17日~21日頃)と続きます。雪雲に覆われ、地域によって平野部でも雪が降り、いよいよ冬到来となります。熊は冬を超えるため巣穴にこもり、ほかの生き物たちも寒さから身を守り、冬ごもりを始め、野山は静かになります。鮭は産卵のため、大海から故郷の川へ遡上します。川を上る鮭の群れには次の世代への命の力が感じられます。そんな、静かな寒さの中でも、自然の営みは途切れることなく続くこと教えてくれるような候となります。
冬の寒さに体が縮まって、血行不良となり、体も心もかたくなになりがちです。この時期、冷えは禁物です。お風呂にしっかり浸かることや、飲食もなるべく温かいものを摂るようにして、身体を温めましょう。定期的な運動や、ストレッチなどもお勧めです。血液や水の巡りを良くして、体も心も、なにごともしなやかに受け止めるようにしましょう。
人と集まる機会が多くなり、寒さも手伝って、家で過ごすことも多くなる季節。そんな時間も豊かに過ごしたいものです。家は屋根と壁、床で外の厳しい環境から、日々の暮らしを快適に過ごせるよう、守ってくれる私たちの大事な砦です。どんなふうに過ごし、どんなことを考え、どんな話をして、どんな食事をするか。身体と気持ちがどれだけ緩められるかは、それぞれの家庭が育む環境によって様々だと思います。私は、家が大好きで、良く家に話しかけます。ヘン?誰もいなくても、「行ってきます」や「ただいま」は言っているし、掃除をしている時や台所でも家になにかしゃべりかけています。やっぱり、ヘンかしら?でも、家は過ごす家族や個人の喜怒哀楽をつぶさに見届けていることも確かで、家が喋れたら面白いだろうな…と、思うこともあります。
以前、ある年上の友達に、家や庭の手入れに手がかかることを話したときに、「素敵な時間じゃない。今、家に手をかけてあげたら、そのうち家が遊んでくれるわよ。」と言われました。なんて素晴らしい言葉だろう、と思いました。もちろん、そんな風に言える彼女の生き方や、家とのかかわり方もあると思いますが、私もいつかそう言えるように家と付き合いたい、と思いました。その時以来、いつか家に遊んでもらえるように、家にしゃべりかける日々です。そろそろ、家に遊んでもらえる頃かしら?そんな家に感謝の気持ちで、掃除をしたり、家を飾ったりする時間や、間もなく訪れる、クリスマスやお正月の準備にあれこれと思案するのは、楽しいものです。小さい頃には、クリスチャンだった母の影響もあり、手作りのクリスマスツリーに、妹と作った飾りや靴下をぶら下げ、サンタクロースが訪れることを心待ちにして、クリスマスイブには母のグリルチキンとケーキ、フルーツポンチが並び、祖父母も一緒に楽しい時間を過ごしました。最後にお祈りをするのは最年少の妹でした。きっと、あの頃のあの時も、母が私たちの家を築いていたひと時だったのでしょう。最近は妹家族と一緒に、妹特製チキンで祝っていましたが、今年はいよいよ大人だけのクリスマスになりそうです。さあ、なにを作ろう、どう飾ろう、と、またまた、思案の時間を楽しんでいます。
熊も冬ごもりをし、鮭も故郷に帰る候となり、そんな風に家と家族のことを考える時間も多くなるのは、この季節が自然にそうさせるのかもしれません。いろいろと忙しい時期ですが、ゆったりとそんなことを思う時間を作ることも、心と体を温め、守ることにつながることでしょう。
そして、暖かく心に残るクリスマスの計画を夢に見られるよう、今夜もぐっすりお休みください。
染谷雅子
ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com
作品名:「家」