6月21日には夏至(げし)を迎え、暦の上ではすっかり夏となりました。関東地方は梅雨のさなかで、暑い日、寒い日、雨が降って、時々現れる貴重な晴れ間に洗濯物をお日さまにあてる…、ような、真夏一歩手前の日々です。七十二候は乃東枯(なつかれくさかるる6月21日~26日頃)、菖蒲華(あやめはなさく6月27日~7月1日頃)、半夏生(はんげしょうず7月2日~6日頃)と続きます。水沿いでは、冬に芽吹く「なつかれくさ」と言われる、ウツボ草は枯れて、アヤメとよく似たハナショウブが咲くころとなり、山中では漢方薬としてもつかわれる、ハンゲ(別名カラスビシャク)が生えるころ、夏のさまざまな植物が、色とりどりに密生する夏の植物界の様子をとらえた候となります。
一年で、一番昼の時間が長い夏至の一日。この一日が過ぎると、昼の時間は日々短くなってゆき、季節は秋へ向かうのです。一方、気温はどんどん上がり、湿度も高くなるので、発汗量が多くなりますが、同時に冷房を使う機会が増えること、急な冷え込みなどで、汗が蒸発しにくくなり、梅雨入りの頃と同じように水分代謝が停滞気味になります。体内の水分を巡らせたら、きちんと排出することを心がけましょう。入浴時間には、シャワーだけで済ませず、湯船につかり、汗を流すようにすれば、自然に熱を放出することができるので、自律神経も整えられます。
水分代謝の停滞を防ぐためには、夏の食生活も大事になります。香辛料や薬味を上手に使い、夏野菜や旬の魚介類などを美味しくいただきましょう。オオバやショウガ、ミョウガ、パセリなど、家庭菜園でも簡単に育ちますので、一株ずつでも育てているととても便利です。旬のアジやイワシ、スズキ、カツオなどは、上質なたんぱく質が摂取できるとともに、カリウムやビタミンなどの含有量も高いのでこの季節の食材として、お勧めです。家庭でお造りをいただくのは、季節柄もあり避けがちですが、揚げたり焼いたりしたものを、香草野菜を使って、味噌や胡麻などで和えるという調理法も、いつもの魚料理と一味違い、食欲もわき、さらに、栄養成分と薬味の成分で体内水分の排出にも一役買ってくれます。野菜はエダマメの旬がやってきます。こちらも、たんぱく質、イソフラボン、ビタミン類、カリウム、さらに食物繊維など、栄養豊富で、体内停滞物を排出する効果抜群です。いつもの塩ゆではもちろん美味しいですが、こちらもさやから出して、白和えなどの、和え物にするのも目先が変わり、美味しくいただけます。
最近、教えてもらったレシピ、「枝豆のペペロンチーノ」は、お勧めです。パスタを作る時のように、ニンニクと唐辛子をオリーブオイルで炒め香りを出し、塩もみをしておいたエダマメを投入し、そのオイルと和えて、炒め、ふたをして、お好みの柔らかさになるまで蒸し焼きにします。絶品です…そう、指先も美味しくなります。
この、「和える」という言葉、もとは「合える」=「合わせる」から発生していますが、とても理にかなった、素敵な言葉です。何かと何かを「合わせる」=「和える」ことで、単純にそれぞれ単品が合わさった物以上になるのです。和をもって合わせることで、その力以上のものが発揮できるということ。
うーん。いろいろあるなー。これってすべてに通じることだなぁ。音楽を弾いていても聴いていても、いつも感じることだし、美術や舞台、芸術全般にも当てはまるし、科学や物理、人の関係もそう。万物に当てはまる言葉。その良い潮時、良い素材、良い環境が合わさることで、思いがけない化学反応が発生して、予想以上の結果を繰り出せる。そんな「和える」能力、想像力や発想力が豊かな日々を送りたい…、などと思いながら、今日はクリームチーズの梅味噌和えを作っています。
そんな、「和える楽しみ」を求め、ガラスをいじったり、譜面に目を通したり、料理をしたりしている、雨降りのこの頃です。そちらも今日は雨降りですか?雨音を子守唄に、今夜もぐっすりお休みください。
染谷雅子
ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com
作品写真は「豆の上に寝たお姫様」