寒い師走の始まりとなりました。12月7日には二十四節気の大雪(たいせつ)を迎えています。雪の多い地方では、野山を雪が白く覆う頃です。七十二候は、閉塞成冬(そらさむくふゆとなる12月7日~11日)、熊蟄穴(くまあなにこもる12月12日~16日)、鱖魚群(さけのうおむらがる12月17日~21日)と、続きます。空は厚い雲に閉ざされ真冬の到来を告げ、平野部にも雪が舞うようになり、山では熊など冬ごもりをする生き物たちは穴にこもり、海では鮭が産卵のために故郷の川へ向かう頃。閉塞された真冬の景色のように見えて、その寒さの中でも命の繋がりの物語は紡がれ続く、そんな冬の自然の候です。
寒さが本格的になり、冷えが気になる季節がまたやってきました。足元や首回り、臀部なども、気づくと冷えていることがあります。気づく、ということは、その前から冷えは忍び寄って、体を蝕んでいるということです。代謝が落ちると胃腸機能の低下をまねき、血流が悪くなると肩こり、腰痛や頭痛、婦人科系の問題を引き起こすのです。首と手首と足首を冷気にさらさないように注意しましょう。マフラーはもちろん、リストウォーマーやレッグウォーマーを使うことも効果的です。
そして、体の中から温まるなら、カレーはいかがでしょう。
インド発祥のカレー料理ですが、パキスタン、スリランカ、タイ、中国、そして、インド系移民の多いイギリス、など、日本を含め、多くの地域で食べられています。ただ、日本のカレーはカレーライスとして、特殊なカレー歴史変遷を経て、今や国民食の一つといえるものとなりました。
カレー料理に使われるスパイスの種類はとても多く、そのスパイスの使い方によって、地域独自の食材とも合わせやすいので、どこの国へ行ってもカレー料理屋さんはあるのです。
日本人が初めてカレーに出会ったのは幕末の頃、そして、明治時代に入り、カレーに使われるスパイスが、使いやすいカレー粉として日本に入ってくると、日本でもカレーが知られるようになります。さらに肉食が解禁されると、洋食屋やレストランでカレーライスが供されるようになり、一気に国内に広がります。
そして、戦後、家庭でも便利に使えるカレールーやレトルトパウチが開発され、今の国民食「カレーライス」があるのです。
いろいろなレシピがありますが、基本のカレースパイスの種類は、クミン、ターメリック、コリアンダーの3種類です。さらに、ニンニク、ショウガなどを使い、辛さの調整はトウガラシを使います。鶏、豚、牛、お好みの肉、また、肉は使わず、野菜のみ、また、シーフードや豆腐を使ったりベジミートを使ったり、と、これだけでもいろいろな種類を作れます。
この基本スパイスは、日本でも和漢療法で薬として使われてきたものです。和名として、クミンは馬芹(マゼリ)、ターメリックは鬱金(ウコン)、コリアンダーは香菜(シャンツァイ、パクチー)。それぞれ、消化促進、免疫力向上、肝機能向上、血流促進、解毒、などの効果があります。ほら、寒さ対策に効果的。
一歩進んで、ナツメグ(ニクヅク)、カルダモン(ショウヅク)、クローブ(チョウジ)、シナモン(ニッケイ)、ローリエ(ゲッケイジュ)、などなど、お好きなスパイスを混ぜてみるのも楽しいし、スープの代わりに牛乳やトマトジュース、ビールなどを使うのも面白く、料理想像力は無限に広がります。
私のカレーには山椒や山わさび、紫蘇など、日本のスパイスを試すこともあります。また、レンコンやカブのすりおろしをとろみ付けに入れたり、少し甘味が欲しい時には、はちみつやブラックチョコレートを使ったり、味噌や醤油は必須、と、いろいろ実験しています。
Spice Up。これは、「スパイスを加えて味を良くすること」、とともに、「面白くする」という意味があります。迎えるクリスマスでも大活躍のスパイス。そのスパイスたちを使って、お好みのカレー作りで冬の夜を健康に“Spice Up”。
いろいろな国、そして人、何万通りのレシピがあるカレー。食べてほしい人と一緒に食べるカレーの美味しさと楽しさを思い出して、明日のレシピを考えながら、眠りにつきたいと思います。
今夜もぐっすりお休みください。
染谷雅子
ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com
作品名:「クリスマスの香り」 ステンドグラス香炉