あけましておめでとうございます。本年も暦をたどる旅をご一緒いたしましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。
年が明け、「寒の入り」と言われる、小寒(しょうかん1月6日)を迎えています。この日から節分までが、「寒」となり、最も寒さが厳しい時期となります。でも、お気づきですか?少しずつですが日が長くなってきています。冬が来れば春は近いということ。
七十二候は芹乃栄(せりすなわちさかう1月6日~9日)、水泉動(しみずあたたかをふくむ1月10日~14日)、雉始雊(きじはじめてなく1月15日~19日)と続きます。セリが生え始めるところは、大地から湧き出した泉(水泉)の氷が溶け出して、緩やかに水が動き出し、春を前に雉は求愛の鳴き声を上げる、そんな、最も寒い真冬の景色の中に見える、小さな春を感じる候となります。春の訪れが近づいているのです。
松も外れて、仕事も始まり、日常が戻ってきます。年末年始の疲れが出る頃です。運動不足になったり、起床時間が遅くなっていたり、食べ過ぎ飲み過ぎ、などの不規則な生活が影響します。日中はなるべく太陽光を浴びるようにして、胃腸にやさしい食事を取り入れ、夕飯は軽めにし、睡眠時間をたっぷりとる。それにより、乱れた体内時計を整えるのです。前出のセリはこの時期の旬食材の一つです。ビタミンCが豊富で、活性酸素の働きを抑え、食欲増進作用や解毒作用などもありますので、疲れたお腹にぴったりです。お浸しや、お粥にお勧めです。また、こちらも旬の食材、タラはビタミンB12が豊富に含まれていて、メラトニンの分泌を整える作用があります。高たんぱくで低脂質ですので、いろいろな料理で軽い夕食に活用できます。
松の内の最後の行事、1月7日には七草粥を召し上がりましたか?そして、11日には鏡開き、と暦の小さな行事は続きます。皆、意味のあるもので、一つ一つ辿って、ゆくと、暦がさらに面白くなります。また、それぞれの家族でも、決まった規則や約束があるものです。
我が家では、元旦は着物を着せてもらい、家族そろってお正月のあいさつの後、お年玉をもらい、それから、御節をいただくという毎年でした。
お正月以外でも、時々着物を着せてもらうことがありましたが、元日の着物は特別で、とても楽しみでした。一日中、着物を着ていても良い日で、特別な感じがして、ご近所に新年のご挨拶をするのも楽しかったことを覚えています。髪も飾って、筥迫(はこせこ)や伊達襟(だてえり)もつけてもらって、そんな、着物の小物が宝物のようで、わくわくしました。今思うと、母は年末から年始にかけてどれだけ忙しかったことでしょう。
お祝いの後は、妹と羽子板をしたり、父と一緒に凧揚げをしたり、また、カルタや百人一首をしました。家族内でも勝負の世界は厳しいもの。冬の午後の日差しが斜めに入る居間で、笑い転げた、お正月の午後の景色を思い出します。
最近、都内のカルタ専門店に行くことがあり、様々な種類があるカルタの面白さを再認識しています。たとえば、地域性。「いろはかるた」は関西で江戸時代後期に生まれ、その後江戸に伝わったそうですが、このカルタにも地域性があるそうです。最初の「い」の字。江戸では「犬も歩けば棒にあたる」=外向性、京では「一瞬先は闇」=内向性、といった具合に、その時代の地域による人の性格や環境が反映されているそうです。面白いでしょ。
今年は幸運なことに、そのカルタ店企画の落語会で、「四字熟語カルタ」が当たり、挑戦中です。結構難しいの。
暦を読むと同時に、そんな昔からの遊びや、親から教えてもらった習慣など、一つ一つ辿ることで、季節の移り変わりと日本人としての気持ちを確認するお正月です。
様々な家族の決まり事や記念日など、自分の暦を丁寧にたどり、この年も良い年となりますよう、楽しくお過ごしください。
明日は何の日だろう?暦を確認しながら眠りにつきたいと思います。
今夜もぐっすりお休みください。
染谷雅子
ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com
作品名:「帯留」