だんだんと日が沈むのが早くなり、少しずつ涼しくなっていく秋。
夏と違って過ごしやすく、毎日元気に! ……とは行かない、この重だるいような感じに覚えはないでしょうか?
9月・10月になってから出てくる『夏バテ』に似た症状、これを『秋バテ』と呼んでいます。
秋とは、寒い冬へ向かう冬支度の季節。夏とはまた違う、秋バテ対策について見ていきましょう。
「秋バテ」って何? どんな症状が出るの?
秋バテとは、秋口や晩秋などの季節の変わり目に起こる体調不良のこと。特に、残暑が厳しい時期や、朝夕の寒暖差が激しい時に発生しやすいとされています。
主な症状としては、身体がだるい、疲れやすい、食欲不振、胃腸の不調、吐き気、腹痛、下痢、頭痛、肩こり、めまい、立ちくらみなどが挙げられます。
また、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるといった睡眠の質の低下から、イライラするなどの精神的な悪影響も大きくなり、ひどい状態になると気力の低下による『秋うつ』とも呼ばれる秋特有のうつ病の原因になる恐れもあるようです。
「秋バテ」の原因とは?
秋バテの原因のひとつは、秋の気候です。8月後半〜9月になると、台風が日本近辺を何度も通過。9月〜10月前半には秋雨前線が日本の南岸沿いに停滞し、秋の長雨をもたらします。
短い期間に気温や気圧が頻繁に乱高下するため、体温調節などを担っている自律神経の働きがその変化についていけず、『夏バテ』に似た症状が出ることがあります。
もうひとつの原因は、夏の生活習慣を引きずってしまうこと。秋口はまだ昼間が暑い日も多く、夏と同じように冷たい食べ物や飲み物を多く摂ったり、冷房の効いた涼しい部屋で過ごしたりしがちです。暑い夏の習慣をいつまでも続けていると、“冷え” につながります。
夏の猛暑の間、体温調節のために酷使してきた自律神経。夏疲れした自律神経はバランスを崩し、それは手先・足先の冷えや内臓型冷え性などにあらわれてきます。
特に内臓が冷えるということは、内臓を巡る血管が収縮するということ。血流が悪くなり、胃腸の働きも低下。食欲がなくなったり消化不良を起こしたりして、体の怠さや疲れやすさにもつながります。『冷えは万病の元』と言われるように、冷えが原因となる体の不調は多いのです。
「夏バテ」と「秋バテ」はどう違うの?
夏バテと比較すると、秋バテは、夏の疲労が残り、さらに新たな季節の変化に体がついていけないことが原因となります。
夏バテしたままその症状をずっと引きずっていたり、「今年はいちばん暑い時季を夏バテせずに乗り切った!」と思ったのに、9月になってどっと疲れが出て食欲がなくなったりする。そのような状態が『秋バテ』です。
交感神経と副交感神経のバランスが大切
ここで、ちょっとだけ難しい『自律神経』のお話。
自律神経とは、あらゆる臓器の働きを無意識のうちに調整している神経です。呼吸、体温、血圧、心拍、消化、代謝、排尿・排便など、生きていく上で欠かせない生命活動を維持するために休むことなく働いています。
この自律神経は、活動するときに働く『交感神経』と、休息やリラックスするときに働く『副交感神経』に分けられます。一日の中でも昼間は交感神経が優位になって活動的になり、夜になると副交感神経が優位に働くようになって自然と眠くなる、というように、通常は規則正しいリズムでバランスよく働きます。
暑い夏には汗を出して体温を下げ、秋になって急に肌寒くなると血管を収縮させて体温が逃げるのを防ぐ。これはどちらも交感神経の働きによるものです。夏から秋にかけては、気温に合わせて体温を調節するだけでもずいぶんと交感神経が過剰に働く状態が続き、やがて交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまいます。そうすると、心身にいろいろな不調を招くことになるのです。
「秋バテ」を予防するには?
秋バテ予防のキーワードは『あたためる』。
秋の寒暖差による冷えと、夏の生活習慣を引きずったことによる冷え。どちらも『あたためる』ことが対策になります。
身体を温める食べ物を意識的に摂りましょう。秋が旬のもの、例えば、さつまいも・自然薯・里芋などのいも類、しいたけ・しめじ・舞茸などのきのこ類、栗・くるみ・ぎんなんなどの木の実、さんま・鮭などの魚類、蕎麦やかぶ、りんごや小豆などもおすすめです。
また、適度な運動は血行を良くし、体温を上げてくれます。
さらに、湯船に浸かることも大切。夏の間はシャワーで済ませていたという人も、ゆっくりと入浴して体温を上げ、リラックスするようにしましょう。優位になりがちだった交感神経を落ち着かせ、副交感神経が優位になるように導いて、自律神経の乱れを整えることができます。
「秋バテ」になったら、質の良い睡眠でエネルギーをチャージ
秋バテ解消法としては、まず十分な睡眠をとることが大切です。『秋バテ』になると交感神経が優位になりがち。休息モードに入るはずの夜になっても副交感神経への切り替えがうまくいかなくなります。“よく眠れない” と感じるのは、自律神経が乱れているサインのひとつです。
秋は過ごしやすい季節であり、良質な睡眠をとれるチャンス。
また、9月3日は “ぐっすり” という語呂合わせから『秋の睡眠の日』とされています。睡眠健康推進機構が日本睡眠学会との協力によって制定したもので、前後1週間を『睡眠健康週間』とし、睡眠を通して、生活の質(QOL)の向上や規則正しい生活リズムの確立につなげていくさまざまな運動が展開されています。
この機会に自分の睡眠習慣について見直し、ぐっすり眠って体と心を整え、寒い冬への備えをしましょう。
「秋バテ」予防にも解消にも、睡眠リズムを整えて
暑くて寝苦しい夏の間に、睡眠習慣が乱れていませんか? 『秋バテ』の予防にも解消にも、睡眠リズムを整えることは大切です。ポイントは3つ。
1.秋の夜長だからといって夜更かししない。
気持ちの良い季節、読書や映画鑑賞などつい夢中になって夜更かししたくなるかもしれません。しかし、それが睡眠リズムを崩す原因に。睡眠ホルモンと言われるメラトニンは、暗い環境において分泌されやすくなります。日没が早まる秋はメラトニンの分泌が促進されて眠りやすくなる季節。夜更かしはほどほどにして、睡眠時間をしっかり確保しましょう。
2.寝るのが遅くなっても起床時間はズラさない。
夜更かししてしまったら、朝起きるのがつらいですね。でも、起床時間はなるべく同じにしましょう。睡眠ホルモン『メラトニン』は、朝の光を浴びると分泌が止まり、起床後14〜16時間ぐらい経過すると再び分泌されます。起床時間が遅くなると、その分、夜に分泌開始する時間がズレてしまいます。また、メラトニンの材料になるセロトニンは、朝から日中に特に活性化されるので、朝決まった時間に起きてしっかり太陽の光を浴びましょう。
3.毎日同じ入眠儀式を行う。
入眠儀式というと難しく感じますが、要するに眠る前に行うルーティン『おやすみ支度』のこと。
パジャマに着替える、静かな音楽を流す、暗めの照明にする、アロマを嗅ぐなど、毎日繰り返しできる簡単なことで良いのです。毎日寝る前の習慣にすることが大切。
できれば寝る前にテレビやスマホの強い光を見るのは避けましょう。メラトニンの分泌を妨げます。
快眠におすすめの秋用パジャマって?
昼間との寒暖差がある秋の朝晩。冷えを予防するために、夏の半袖パジャマから秋用の長袖・長ズボンに衣替えをしましょう。
普通の服なら日中の気温が20〜22度になる10月1日が衣替えの時期。ですが、日中より涼しい朝晩に着るパジャマは、少し早めの9月中旬〜下旬頃に衣替えする方が多いようです。
夏の暑さを残す初秋には、汗を吸って通気性が良い薄手ガーゼの長袖パジャマを。
薄手の長袖パジャマでは肌寒いという頃には、ちょっと厚手のガーゼパジャマやパイル素材のパジャマがおすすめです。
ぐっすり眠りたいなら、寝返りしやすいパジャマを選びましょう。
睡眠中に寝返りをうつのは、長時間同じ姿勢でいることで身体が部分的に圧迫されて血行不良になるのを防ぐためです。適度に寝返りをうつことは、身体にかかる負担が軽減されて睡眠の質を高めることにつながります。
寝返りの動きを制限しないストレッチ性のある素材・身体を締め付けないゆったりサイズ・寝返りのじゃまになるような装飾がない、そんな秋用パジャマを取り揃えております。