長い昼間の時間が嬉しくて、いろいろなことをしたくなるこの頃。二十四節気はすべてのものに生命が満ちる時、小満(しょうまん5月20日)を迎えます。七十二候は、蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ5月20日~24日頃)、紅花栄(べにばなさかう5月21日~5月29日頃)、麦秋至(むぎのときいたる5月30日~6月4日頃)、と続きます。生命力あふれる大きな力は目覚めと活動を促し、蚕(かいこ)は繭(まゆ)を紡ぐ準備のため、桑の葉をモリモリと食べ、染料として使われる紅花は鮮やかに咲き誇り、寒い冬に芽を出した麦もその恩恵を受けて、たわわに実る頃。自然に導かれ、動植物は成長のエネルギーを充填され、生き生きと満ち満ちる、そんな生命界を表す候となります。 麦 そんな時期を過ごすには、それなりのエネルギーも必要です。仕事や環境、人間関係など、新たな道が見えてきたこの頃、動きやすい気候でもあるため、つい無理をしがちです。心と体のエネルギー均衡をとるよう心がけ、仕事や家事、余暇の時間も心地よく過ごしたいものです。心の疲れが体の疲れにつながらないよう、胃腸の調子を整えましょう。エネルギーは補給さえすれば良いというものではありません。過食、特に、寝る前の食事は避けるようにしましょう。一般的に、就寝最低3時間前には食事を済ませるようにすること、また、8時間以上は食品の摂取を避け、胃腸を休ませることが推奨されます。その結果、朝食も美味しくいただけるようになり、効率の良いエネルギー摂取ができるはずです。 時間

目に入る緑、咲きそろう花々、屋外で食事をするのも一興。友達や家族とピクニックやバーベキューなどもぴったりの時です。我が家も庭での食事が多くなるこの頃です。普通の日の普通の食事も、庭のテーブルに運べば、あら、不思議、もう一つ調味料を足したように美味しく楽しいものです。清々しい初夏の空気はもう一つのスパイスになります。庭でのバーベキューメニューは様々ありますが、主食とおかずが一緒に摂れる、炊き込みご飯は、思いのほか簡単で、炊きあがりを待つ時間も楽しく、美味しくいただけます。土鍋や鉄のフライパンなど浅いお鍋に、米と具材、肉や魚、野菜などお好みのものを散らして、出汁やスープで炊き上げるだけ。今の季節なら、タケノコやマメ類、新玉ネギや新ニンジン、ゴボウも素敵。そこに、若鶏や稚貝、エビやタコ、シラスもいいですね。そんな、様々な食材の組み合わせ、バーベキューコンロを使って、厚手の鉄鍋で炊き上げます。 炊き込みご飯

スペシャルメニューはパエリアです。パエリアというと、なんだか手間がかかりそう…、と思われがちですが、要は、洋風炊き込みご飯。ね、そう思うと簡単ですよね。ポイントはサフランです。サフランは、一般的に「サフランクロッカス」として知られるクロッカス・サティバスの花の雌しべを摘み取り、乾燥させたもので、スパイスの一種です。独特の味と香りを持ち、料理に色を付けるために使われます。その起源は古く、原産国とされているイランや、ギリシャやメソポタミアとも言われています。スペインも有名なサフランの生産国で、特にラ・マンチャ地方で栽培され、パエリアなどのスペイン料理で使われます。1gのサフランをとるのには、160個の花が必要とされ、希少性が高く高価なスパイスです。 サフラン

ここで登場するのが紅花です。日本ではむかし、末摘花(すえつむはな)とも言われた紅花は、サフランとは全く異なる種類で、キク科の植物ですが、その鮮やかな黄色や紅色にはサフランと共通する成分も含まれています。両方とも血管を拡張し体を温める効果があり、婦人科系の病症に効果が認められ、それぞれ漢方医療や伝承医療や、ハーブティとしても使われます。この食用紅花をサフランの代わりに使用してもきれいなパエリアができます。 紅花

いずれにしても、お日さまのようなきれいな黄色に炊きあがった、洋風炊き込みご飯、パエリアを、友達や家族と囲むのは幸せな時。青空と眩しい緑もスパイスになり、本格的な暑さを前に心と体に元気の充填ができます。今年もみんな、元気に集まれて良かったね。ぜひ、来年も、と祈るひと時です。

 

さて、つぎの庭での炊き込みご飯は何にしようかな?そんなことを考えながら、パエリアの夢でも見ましょうか。そろそろ眠りにつこうと思います。

皆様、今夜もぐっすりお休みください。

染谷雅子

 

 

 

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com

作品名:「ステンドグラス CutUpPoem ペンダント」 染谷雅子のガラス作品「ステンドグラス CutUpPoem ペンダント」

 

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