残暑は厳しくとも、一雨ごとに大気の熱は少しずつ奪われ、秋が近くまで来ているような気がする朝夕。二十四節気は、処暑(しょしょ822)を迎えます。七十二候は、綿柎開(わたのはなしべひらく822日~26日頃)、大地始粛(てんちはじめてさむし827日~31日頃)、禾乃登(こくものすなわちみのる91日~6日頃)、と続きます。暑さは徐々に和らぐ頃、綿の花がうす黄色から桃色に変わって実になり、枯れて、その実が割れて、白いふわふわとした綿が顔を出し、大気や大地のすべてに新しい秋の気配が行き渡り、稲や麦などの穀物は実りの時を迎え、その穂は重くなり満ちてくる、そんな、暑さが残る中にも、深秋を前に季節の移り変わりの小さな自然界の変化を表す候となります。 綿の花 人はどうも楽な環境にすぐ慣れてしまうもので、秋雨が降り、数日間でも少し涼しくなると、体がそちらに慣れてしまい、残暑の戻りにまた夏の始まりのような気分を思い出してしまいます。そんな温度や湿度の変化に沿える身体づくりをするために、食生活を見直しましょう。少し食欲も戻って来て、まだまだ冷たい麺類も美味しいし、そろそろ新米も出始め、秋の果物も実り、この時期は美味しい物ばかりで糖質摂取過多になりがちです。糖質過多になると血糖値の上昇、下降が安定せず、疲労感を招くことになり、さらに、余剰糖質は体内たんぱく質を劣化させ、いわゆる、体内の酸化を加速させることとなります。炊きたての白いご飯が美味しいのはもちろんのこの頃ですが、食べる量や食べ方にも気を配り、糖質過多にならないようにして、抗酸化体質を目指しましょう。 白いご飯 秋の美味しい食べ物には、お供が必須。そう、ビール。ビールが美味しい季節です。というか、ビールはどの季節にも、どんな食材にも、見事に沿ってくれる優秀な飲み物です。ビールは、主に大麦を発芽させた麦芽を、ビール酵母によりアルコール発酵させて作る製法が一般的で、日本の酒税法では、ビールは麦芽とホップ、水を主原料としたアルコール120度以上のお酒と定義されています。

ビールは世界中で愛される飲み物で、長い歴史と様々な種類があります。まず、ビール酵母の発酵方法の違いで、低温発酵(ラガービール)と常温発酵(エールビール)に分かれ、また、様々な副材料など原材料の違い、さらに、麦芽の焙煎方法や酵母の違い、熱処理の有無によっても違いが出ます。 ビール ビールをビールたるさせる主役ホップ(Humulus lupulus)は、アサ科カラハナソウ属のつる性多年生植物で、ビールに香りや苦味を付ける重要な原材料です。他にも、香り、泡持ち、防腐、などの作用があります。ホップは世界中で200種以上の品種があるそうで、ホップ生産国1位はアメリカで、次いでドイツ、日本は13位で、他の国々と比べると桁違いに少ないですが、北海道や東北地方の岩手県、秋田県、山形県、青森県などで生産されています。特に岩手県遠野市はホップ栽培50年以上の歴史があり、日本一の生産量を誇っています。同市は世界的なホップ生産地と同緯度にあり、冷涼で寒暖差が大きい気候がホップ栽培に適しているといわれます。 ホップ栽培 ホップには雄株と雌株があり、ビールに使われるのは受精していない雌株の果実の部分のみ。緑色の小さな松ぼっくりのような形で、「球花(きゅうか)」、「毬花(まりはな)」と呼ばれます。収穫時期は、一般的には8月下旬~9月上旬で、収穫されたホップは乾燥させて圧縮し、保存しやすい状態に加工されます。そのホップが全材料の50パーセント以上使用されるものがビール、それ以下のものは発泡酒と定義されています。 ホップ ホップを食べたこと、あります?ホップのフリッターをいただいたことがあります。そのほろ苦さと、広がる香りに、ちょっとつけた塩が緩急となり、口の中に爽やかな刺激が残ります。春の山菜の天ぷらみたい。もちろん、ビールによく合うのです。ふむふむ、この爽やかな苦味がビールの秘密なのですね、と、口の中に問いかけました。ほかにも、パスタに入れたり、マリネにしたり、いろいろな可能性があるようです。機会があったら、ぜひ、お試しください。ホップだってビール以外に活躍したいはず。 ホップ
ベルギーはさまざまな種類のビールがあり、それぞれのビールに適した形とデザインのグラスでいただきます。日本で、生ビールをごくごくと喉を鳴らして飲む作法とは違って、ゆっくり時間をかけて、味と香りの変化を楽しむといういただき方。夏の長い夜に屋外のテーブルで、白アスパラや生ハムをつまみながら、ビールグラスを前に長い時間おしゃべりをしている地元の人たちは、きっとそれが日常なのでしょうが、絵のような素敵な景色で、隣のテーブルでまねをしてみました。

ベルギー 今や、日本中、世界中のビールが手に入る世の中。好きなビール、気になるビール、きれいなデザインのビール、好みに合わせていろいろと選べます。ビールの種類や材料を知ると、秋の食卓と共により楽しいビール生活が送れることと思います。 明日は、旅行のおみやげで買ったクラフトビールを飲もうかな、なんて考えながら、今夜も眠りにつきます。

皆様、今夜もぐっすりお休みください。

染谷雅子

 

 

 

 

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子

ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com

作品名:「ステンドグラス ビールグラスのキャンドルホルダー」

 

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子 作品名:「ステンドグラス ビールグラスのキャンドルホルダー」

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